無農薬無除草剤栽培 やり方はさまざま          

 無農薬無除草剤栽培は良いことばかりのようですが、あまり広まっていかないのにはわけがあります。ずっと化学肥料や農薬、除草剤などを使ってきた農家の人に聞いたりしても、殆どの人が「本当はそういうものは使わない方がいい」と言います。けれども、化学肥料や農薬、除草剤などを使わない栽培方法があまり普及しないのは、一つには、それらの方法では手間がかかりすぎる(とくに、初期の段階においては)ということがあります。有機栽培などで必ず問題にされるのが、雑草対策です。農業をやる人も減り、高齢化がすすんでいるなかで、なるべく労力を使わないやり方を追求してきた結果が現行のやり方なのです。
 いわゆる有機農法はやり方はいろいろ最近研究され、実践をされている方も少しずつですが増えてきています。米作りでは、不耕起栽培、アイガモ農法など、いろいろとあります。

 簡単ではありますが、いくつかの例を下に挙げてみます。

不耕起栽培
1.やり方 田起こしや代掻き(しろかき)を行わず、つまり田を耕すことなく行う稲作のことで、耕さないため土は固くなりますが、稲はそこに根を張ろうと多くの栄養を吸収する。結果として稲が野生化して強くなる。
2.利点 農薬が無くても害虫に負けず、冷害にも強く、おいしい米が収穫できる。田起こしや代掻きの必要がない。⇒その分の時間と労力が削減。
3.難点 田植えをやる時に、土が固いため不耕起専用の田植え機を使わないとできない。やり始めの数年間はとくに、稗粟などのいわゆる雑草取りが必要。米の収量は下がる。
4.さらに理解するために 『不耕起でよみがえる』日本不耕起栽培普及会 岩澤信夫 創森社2003年

アイガモ農法
1.やり方 田植え後稲が十分活着したころ、ヒナを放し、毎日二回餌をやりアイガモが一箇所にかたまらないように誘導します。
2.利点 除草効果は完璧と言われています。また、害虫も食べます。それからアイガモが泳ぐと土が撹拌され、有用微生物にとって大変よく、アイガモの糞は肥料にもなります。まさに循環型の理想的な水田ともいえそうです。
3.難点 野犬や他の外的から守るために水田を囲ったりしなければなりません。また、放し飼いによりたくましく成長したアイガモの世話や処理が大変なのだそうです。肉にされ売りに出している人もいます。

 

レンゲ不耕起直播法
1.やり方 レンゲを秋に播き、レンゲが咲いている頃に、泥でコーティングした種籾を直接レンゲの間に撒くやり方です。直接手で蒔く方法もありますが、レンゲを刈りながら直線状に蒔く専用の機械を使うやり方もあります。5月の連休明け頃、レンゲは枯れ出すのとは反対に、今度は稲が芽を出し、だんだんと緑を増してきます。まわりが田植えをする頃には、レンゲはすっかり枯れ、緑は鮮明になってきます、そこで水を入れると稲の生育は更によくなり、一方レンゲは徐々に分解し始めます。
2.利点 レンゲは景観を楽しませてくれるだけでなく、根粒菌が堆肥になり、雑草を押さえる効果があります。ただ、直播は移植に比べて苗を別に作らなくてすむうえ、田植えの手間も要らない省力的な方法です。
3.難点 反面、発芽、苗立ち、倒伏の面など技術的に難しいことも多いです。また、レンゲの中という太陽光が届きにくい環境での発芽のため、初期の生育が若干問題です。また、生育可能期間が長い西南暖地では、発芽や初期の生育に時間がかかっても、収穫までに十分時間がありますが、関東より北の地方では生育可能な期間が短いので難しいといえます。
4.さらに理解するために 『週末の手植え稲つくり』横田不二子 農文協 2000年


 この他にもまだまだ稲の作り方はあります。また、今挙げたやり方も、作る人や地域によって、若干違いがあると思います。これらがすべてにおいて結論として問題であると言うことではなく、本当により良い米を作るために試行錯誤しながら毎年研究に研究を重ねてきたやり方であり、そういう意味ではどれもすばらしいと言えると思います。
 ただ
本当に無農薬無除草剤を広く一般的に普及させるということを考えたときに、今挙げたようなやり方では、現在の普通の農家がやっているやり方とあまりのギャップがあります。もちろんギャップがあって当然ですが、結局、知識や経験が豊かな人にしかできないということになりがちです。
 しかし、端的にだから、上にあげたものが駄目であるということではなく、それぞれの良い点を生かしながら、組み合わせていくことも、普及する上では重要になってきます。たとえば、深水法と不耕起栽培を組み合わせてやったり、合鴨を取り入れながらやっていけば、自然に与える良い影響は倍増するに違いないでしょう。なにより、夢があるやり方であり、多くの人に受け入れられます。そういう面から広く普及していく可能性もあります。

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