深水法とは何か
 
 深水法は、機械や薬に頼らずに昔からの知恵を生かして除草などの手間を省き、しかも稲は丈夫で、おいしい米を作ることが可能なやり方です。「そのような方法が本当にあるのか」と思うかもしれません。しかし、この方法は、今になって突然生まれた思いつきの方法ではなく、江戸時代から(戦後の農業の機械化や農薬・除草剤などに頼るやり方になるまで)ごく普通に長年やられてきた方法です。つまり、すでに長い間実験され尽くし、洗練され尽くした方法なのです。実際にかつてはこのようなやり方で立派に米作りはできていたわけです。

 けれども、戦後、農家人口の減少に伴って大規模な専業農家人口を増やす、あるいは兼業農家の人がより効率よく作業できるためにと、農業の機械化と化学化が国の方針で進められて行きました。稲作もあらゆるところで機械を取り入れていきます。それにより田植えでは、機械の都合上苗は長苗でなく短い苗を機械で植えていくようになります。短い苗ではどうしても浅く水を引くしかありません。浅い水では土の中の雑草の種は太陽の光をよく受けて芽を出し成長します。そこへ同時に開発されてきていた除草剤が使われました。除草剤によって草は除去されてきました。実際田植えや刈り取りの作業は人手も少数で可能になり、大分楽に出来るようになりました。
 
 しかし一方で、先ほども述べたとおり、今度は薬による環境や人体への被害が問題になってきました。無農薬無化学肥料無除草剤の農法がいろいろと工夫され、実際にそういうやり方でやる人も少しずつ出てきています。このようにいろいろなやり方が研究されているわけですが、実は、よくよく考えてみれば、戦後機械を使うことや化学的な肥料や農薬などを使うことが推奨され、それが効率がもっとも良いやり方のように謳われるようになる前まででも、かなり米は作れたのです。ただ労力はかかりました。田植えも稲刈りも畦の草刈もすべて人力でやらなければならなかったからです。


   深水法の特徴            

@ 除草剤は本当に全くいらない。
稲の生育を邪魔する草は殆ど生えない。多くの場合、農薬も使わなくても大丈夫。
A 田植えの時と刈入れの時以外は殆ど田んぼに入る必要がない。
(畦の草刈りは必要です。畦の草は除草剤を撒いてしまうと草の根に守られていた畦は崩れてしまうので必ず刈ります。)
B 特別な難しい知識が無くても、深水法の経験がなくても、現在やられている稲作りを基本に誰でもできる。
C
深水法でやるために新しい道具や機械を購入する必要がない。

@は、他の無除草剤でやってきているやり方でもクリアーされている良い点です。深水法では、長苗にあらかじめ苗を育てそれを植えていきます。田植えがすむと、すぐに深めに水を張ります。そうすることで、かなりの雑草の発芽を防ぐことができるのです。稗(ひえ)は発芽しても酸素不足でとろけてしまいます。深水では除草効果だけでなく、保温効果や稲の茎を太く丈夫にする効果があります。
 A、Bとありますが、他の無農薬無除草剤のやり方と比較して、特別なことをやらなければならない事がありません。基本的には、今一般的にやられている稲作りのサイクルでできるということです。違うところは、除草剤(そして、多くの場合農薬)を散布しないということと、苗を長苗に育てて、水を深く張るということだけなのです。たったそれだけのことで、環境にも人の体にもやさしい安全なお米がとれるわけです。そして、収量は抜群によく毎年安定していますし、台風や異常気象にも強い丈夫な稲ができます。
 Cでいうように、新しく深水法専用の田植え機や耕運機などを買う必要はありません。田植えの際に、20cm以上の長い苗ですとからまる危険もありますが、それより短い15cmぐらいの苗であれば、一般的に使われている田植え機を若干調節することで、今行われている普通の機械植えが可能です。最新の田植機では20cmぐらいでも大丈夫だそうです。

 江戸時代からの深水法は、田植えや耕耘などはどうしても人力に頼らざるをえませんでした。その為大変時間もかかりました。また、今現在注目されつつあるさまざまな無農薬無除草剤方法は、ちがった意味で手間と暇と人力が必要な面があります。しかし、今ここで紹介している深水法は、昔からの知恵と現代の技術の両方を生かしてできる、そういう意味では全く新しいやり方といえるでしょう。

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